3.11を経て大きく変わるかと思われたこの国も、結局10年も経てば良い方向への変化はなく、そして迎えたコロナ禍においても自分こそが正義だと信じて疑わず罵り合う様が繰り広げられた。一体、人間にとって正義とは何なのか?主張の違うお互いがわかり合うというのは永遠に訪れないファンタジーなのか?
幼児を殺害しミイラにするという猟奇殺人をテーマに、異常なストーリー展開で罪と罰の根元を問う映画がこの「センチメンタル」だ。
そして、その物語に不可欠な要素として導入された3Dという映像表現。単なる流行だと思われていた3D映画の新たな可能性を「縄文にハマる人々」で開花させ、先進映像協会ルミエールジャパンアワード優秀作品賞を受賞した山岡信貴監督が3Dのさらなるポテンシャルを引き出した最新作でもある。
古今の3Dを再度検証し直し、必然性をもった3D表現を追求した結果、これまでハリウッド映画で使われていた手法の多くが効果的ではないという結論を得て、ストーリーと表現を緻密に連携させた映画を作り上げる。
それは3Dの最終結論か、新たな表現の幕開けか。